最近のサッカークラブはチェルシーやマンチェスター・シティ、パリSGに代表されるように大富豪がオーナーになり潤沢な資金を投資し、経営を担っている。
裸一貫、一代で財を築いた成金の会社経営者がクラブチームを買収してオーナーとなり、
ファンに批判を浴びながら独自の視点(ワンマンとも言う)でクラブ経営をしていた人達がいたのはなんだかすごく懐かしい。
昔々、イタリア人の男の子の夢は3つあると言われていた。
ひとつ目はサッカー選手になること。
二つ目は自分の名前のワインをつくること。
そして、三つ目が自分の好きなサッカーチームのオーナーになること。
チームが勝てないと批判され続けるため、無理な投資でクラブチームを運営する。当然、資金が不足する。自分の知る限り、国内外から資金を調達するために90年代後半頃から株式を上場するクラブが増えたきた。クラブを所有するオーナーの出資額が限界に達した場合など株式上場は効果的な手段となる。しかし、株式上場はファンには好まれないオーナーにクラブを取られかねない為、慎重になる。慎重になるためクラブ経営から手を引きたい現オーナーは、次の新オーナーを探すのに苦労する。次のオーナーが見つからず、2000年代前半のフィオレンティーナやパルマのように破産したケースもある。
クラブチームを潰さないために「ファイナンシャルフェアプレー」という制度が存在する。
ファイナンシャルフェアプレーについてはまた次の機会ということで。
で、前置きが長くなり前置きよりも本題が短くなりそうですが本題に。
所有物的なオーナー制度とは違うクラブの運営方法として、ソシオ制度という方法が存在します。
FCバルセロナに代表され、スペインのクラブの多くや日本では横浜FCがこのスタイルをとってクラブ運営をしています。
で、ソシオ制度とはどんなものなのか?FCバルセロナを例にして。
簡単にいえば、クラブ会員の会費によってクラブを支える運営方法になります。
クラブ会員なった場合、会員はクラブに対して金銭を支払う義務がある。
その代わりに総会への参加、理事、会長選挙への選挙権、被選挙権などクラブ運営に参加することができる権利が与えられる。
クラブは大企業や大富豪の所有物ではなく、一人ひとりのソシオがオーナーという考えのもと、成り立っている。
ちなみにソシオ(socio)とはスペイン語で「仲間」という意味。
ソシオ制度の特徴としてまとめると以下の4点になる。
・クラブに対して金銭を支払う義務がある。
・総会に参加できる。
・会長選挙への選挙権、被選挙権が与えられる。
・ソシオはクラブのオーナーである。
また、FCバルセロナの特徴として、15、6シーズン前までは胸にスポンサーロゴはついていなかった。会員一人ひとりの会費が毎年のクラブの基本財産になるため入れていなかった。
UNICEFのロゴが入った時はスポンサー広告ではなく、UNICEFの活動を支援するためのものであり、UNICEFに年間約2億円の支援を行っていた。
最初にUNICEFのロゴをつけたのはソシオに対する配慮だとも言われている。昔からのソシオにしてみれば胸スポンサーは違和感極まりない。
その後は段階を踏んで、カタール財団、カタール航空、RAKUTENと胸のスポンサーロゴは変わっている。現在の年間契約金は5000万ユーロほど。資金を得るためのうまいやり方だったと思われる。
ソシオ制度は一応、民主的な会長選挙が行われる。FCバルセロナで、2020年10月に辞めた前会長が‘あれ’だったのは選んだソシオにも責任がある。
メッシがいなくなったのも突き詰めれば、あの会長を選んだソシオの責任にもなってしまう。
クラブを運営するということは本当に難しい。